はじめに

近年、人手不足と人件費高騰が深刻化する中、SIer(ソフトウェア業含む)や人材派遣業の倒産が過去最大水準に増加しております。   特に固定費負担の重い企業では、オフィス拡張や研修投資が経営を圧迫し、倒産リスクが高まっている状況です。  

本記事は、地方で就職活動中の学生地方企業で働くエンジニアの皆様を対象に、以下の内容を解説いたします。  

  • 倒産リスクの高い企業を見極めるポイント
  • 地方における企業環境の現実
  • フリーランスエンジニアという柔軟な働き方の選択肢
  • 人手不足時代を生き抜くためのキャリア戦略

地方における若者流出や企業の後継者不在という現実も踏まえながら、将来のキャリア戦略を考える材料としていただければ幸いです。  


SIer・人材派遣業の倒産が過去最多水準へ

人材関連サービス全体で倒産増加

東京商工リサーチの2024年度(4-2月)の「職業紹介業・労働者派遣業」倒産の状況調査によると、人材関連サービス業の倒産が過去10年で最多水準へ増加しております。 人手不足が主要因と分析されており、業界全体で深刻な経営環境が続いております。

労働者派遣業の2025年1〜8月の派遣業倒産は59件となり、年換算すると過去最多を更新する可能性が高いペースとなっております。
人材確保困難とコスト高騰が背景にあります。

参考: 労働者派遣業の倒産動向(2025年1-8月)|株式会社 帝国データバンク[TDB] 参考: 「人材関連サービス業」で倒産が過去10年の最多超え92件に TSR調査 - オフィスのミカタ

ソフトウェア業(Sier含む)の倒産も増加

帝国データバンクの調査では、ソフトウェア業の倒産が過去10年で最多レベルまで増加しております。 前年度の1.4倍に増加し、人件費高騰が小規模事業者を直撃している状況です。

参考: ソフトウェア業の倒産、過去10年で最多 前年度の1.4倍に増加、人件費高騰が小規模事業者を直撃 | 株式会社帝国データバンクのプレスリリース

人手不足なのに倒産が増加している理由

DXの推進などによって人手不足になるほど需要はあるのに倒産が増えている理由として、有識者は以下のように推測しています。

  • 人件費高騰・人手不足 → 採用難・人材流出 → 労働単価上昇 → 経営圧迫

政府の要請を受けて、人件費が高騰しているの対して、クライアントに上昇分を価格転嫁することができず、人手不足で人材を確保できず、売り上げを伸ばない状態になっている。

その結果、案件があっても資金繰りが悪化する企業が出てきており、オフィスの賃料や・高額研修投資などの出費が売上や人材確保と釣り合わず、利益を逼迫して倒産する企業が増えているのではないかとされています。

Sierにおいては、元請けは儲かっているが、下請けの企業が儲からない状況にあるとされています。
特に薄利多売の末端層よりも、中間層の方が自分たちも上に上がろうとしている分、苦しい状況にあるのではないかと言われています。


岡山県の企業環境の現状

休廃業・倒産件数も増加

2024年の休廃業・解散は958件で過去5年で最多となっております。 倒産は102件と、中小企業の環境悪化が顕著に表れております。

参考: 岡山県 企業の休廃業・解散動向調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク[TDB]

若年層の転出が加速

岡山県では20〜24歳女性の転出超過率が大幅に上昇しており、まさに就職のタイミングで若年層の県外流出が進んでおります。
この現象は地域の経済・労働市場の需給を悪化させております。
「人口減に拍車がかかる」「由々しき問題だと認識が必要」と日本政策投資銀行岡山事務所も警鐘を鳴らしております。

岡山県では若者を確保することが困難な状況になる可能性があるため、岡山県の企業側はより人手不足に苦しむことなるにかもしれません。

参考: 岡山県の転出超過率 若い世代で高まる 「人口減に拍車」「由々しき問題だと認識必要」日本政策投資銀行岡山事務所が警鐘 | KSBニュース | KSB瀬戸内海放送
参考: 山陽新聞: 岡山県の転出率


倒産リスクの高い企業の見分け方

倒産する企業に入社して、路頭に迷う。。。そんな目にあいたくないですよね。
ここでは、倒産リスクが高い企業の特徴について紹介します。

固定費重視の経営を行っている企業

大型オフィスの新設、過大な研修費や設備投資を行っている企業は、見た目は立派ですが、これらの固定費を回収できない構造に陥ると資金繰りが急速に悪化する傾向があります。 また、人口減で人手不足が確保できない、AI技術の推進などで少人数での開発が普及しだしている中で、敢えてオフィスを新設してしまうとただのハコモノと化してしまう可能性があるため、 本当に必要な投資をしている企業なのかどうか?という点に着目してみるといいと思います。

離職率が高い企業

採用できなかったり、既存の離職が止まらない企業は、人材を確保できず、倒産する可能性があります。
特に給料が低い、人間関係が悪いなど労働環境に大きな問題を抱えている企業は一人が離職するだけで、雪だるま式に退職する人が増える可能性もあるため、注意が必要です。


人手不足時代を生き抜くキャリア戦略

倒産する企業への入社を避けることができればベターですが、100%回避することはできません。
ここでは、自身の会社が倒産した場合でも、転職や独立で特定の会社に依存せずに、キャリアを構築するために、やるべきことを紹介します。

企業選びと市場価値の向上

IT/デジタル領域ではスキル重視の市場感が強まっており、企業が人材確保に苦戦しております。 就職活動中の学生はもちろん、現在地方企業で働くエンジニアの皆様も、目先の待遇だけでなく、ご自身のスキルを高められる環境かどうかを見極めることが重要です。

企業選び・転職先選びのポイント

  • 技術スキルを磨ける環境(研修制度、技術スタック、新技術への取り組み)があるか
  • エンジニアの育成やキャリアパスに力を入れているか
  • 成長性の高い企業・業界かどうか
  • 市場価値の高いスキルを習得できるか
  • リモートワークなど柔軟な働き方が可能か

地方エンジニアが意識すべきポイント

  • 現在の会社でスキルアップの機会が限られている場合、転職やフリーランスへの転向も視野に入れる
  • 定期的に市場価値を確認し、適切なタイミングでキャリアチェンジを検討する
  • 副業などで新しい技術や案件に触れる機会を作る

フリーランスエンジニアという選択肢

近年、エンジニアの働き方としてフリーランス・業務委託という選択肢が注目されています。 固定費負担を抑えたい企業が増える中、プロジェクト単位で動けるエンジニアへの需要が高まっています。

特に地方エンジニアにとって、フリーランスは有力な選択肢となります。
地方企業では給与水準が低い、最新技術に触れる機会が少ない、といった課題がありますが、フリーランスとしてリモート案件を受注することで、これらの課題を解決できる可能性があります。

新卒で就職せず、いきなりフリーランスになることは推奨しませんが、数年の実務経験を積んだ後、フリーランスとして独立する道も視野に入れておくことをお勧めいたします。

フリーランスエンジニアのメリット

  • 複数のプロジェクトに携わることでスキルの幅が広がる
  • スキルに応じた単価交渉が可能(会社員より高収入も可能)
  • 働く場所や時間の柔軟性が高い
  • 地方在住でも都市部の高単価案件に参画できる
  • 倒産リスクのある企業に依存せず、複数の収入源を確保できる

フリーランスを目指すための準備

  • まずは企業で2〜3年以上の実務経験を積む
  • 特定の技術領域で専門性を高める(Web開発、インフラ、データ分析など)
  • 副業などで小規模案件から経験を積む
  • フリーランスエージェントに登録し、案件の相場感を掴む

地方エンジニアがフリーランスとして成功するポイント

  • リモートワーク案件を中心に選ぶ
  • 都市部の案件相場を理解し、適正単価で受注する
  • 継続的なスキルアップを怠らない
  • 複数のエージェントに登録し、案件の選択肢を広げる

フリーランスとして活動する際は、適切なエージェントの選択も重要です。
詳しくはフリーランスエージェントの選び方をご覧ください。


まとめ

SIerや人材派遣業の倒産が過去最大水準に達し、岡山県をはじめとする地域では若年層流出や後継者不在が深刻化しております。 この現実は、企業選びや転職、キャリア戦略において慎重な判断が必要であることを示しております。

就職・転職先を選ぶ際の注意点

以下のような企業には倒産リスクがあるため、注意が必要です。

  • 大型オフィスや過大な設備投資を行っているが成長性が不透明な企業
  • 人材確保・育成が追いつかず現場負荷が増大している企業
  • 需給ギャップを放置したまま従来型ビジネスを継続している企業

人手不足時代の生存戦略

1. 就職活動中の地方学生の皆様へ

  • 目先の給与や安定性だけでなく、スキルを高められる環境かを重視する
  • 地方企業に就職する場合は、成長性や技術への投資姿勢を確認する
  • フリーランスという選択肢も視野に入れ、まずは実務経験を積む

2. 地方企業で働くエンジニアの皆様へ

  • 定期的に市場価値を確認し、キャリアチェンジのタイミングを見極める
  • スキルアップの機会が限られている場合、転職やフリーランスへの転向を検討する
  • リモート案件を活用することで、地方在住でも都市部の高単価案件に参画できる

3. フリーランスエンジニアという選択肢

  • 複数の収入源を確保し、企業の倒産リスクに依存しない働き方が可能
  • 地方在住でも都市部の案件に参画でき、収入アップが期待できる
  • 数年の実務経験を積んだ後、独立を視野に入れる

人手不足時代において、エンジニアは市場価値の高い職種です。
ご自身のスキルと市場環境を踏まえ、最適なキャリア戦略を選択されることをお勧めいたします。