はじめに
大手企業の案件を地方の下請け企業が受注する「ニアショア開発」は、コストメリットの大きい発注形態として広く活用されています。 しかし、その内側では、社内の都合によって工数が実態とかけ離れた形で見積もられているケースも存在します。 今回は岡山のとある下請けIT企業で実際にあった、見積もり水増しにまつわる話を紹介します。
「工数を2週間にしろ」と言われた若手エンジニア
これは、大手SIerである富士通の案件を受注している、岡山のとある下請けIT企業での出来事。
ある日、若手エンジニアが新規案件の見積もりを行っていた。
- 若手エンジニア 🙂 「この作業は設定ファイルを修正するだけだから、1日あれば十分だな。動作確認とバッファを含めて3人日で見積もっておこう。」
- 若手エンジニア 😅 (これでもだいぶ多めに見てるけど……。)
すると、隣の席で作業をしていたベテラン社員がその見積もりに気づく。
-
ベテラン社員 😏 「おいおい、それじゃ工数が少なすぎるよ。2週間は取らないと。」
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若手エンジニア 😳 「え!? 実際の作業時間ってそれくらいですよね?」
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若手エンジニア 😰 (3人日でもだいぶとりすぎのつもりだったのに……。)
- ベテラン社員 😏 「それじゃうちの利益にならないから。」(ヘラヘラしながら鼻で笑う)
- 若手エンジニア 😞 「わかりました……。」
納得はいかないまま、若手エンジニアは2週間分の工数で見積もりを作成することになった。
その後、この見積もりはそのまま顧客へ提出され、無事に発注を受けた。 若手エンジニアは指示された通りに、2週間かけて作業を進め、完了後に顧客への作業報告を行った。
- 顧客 🤨 「ん? この作業って設定ファイルを変更するだけで、コード修正は入ってないですよね? なんで2週間もかかったんですか?」
- 若手エンジニア 😨 「えっと、それは……。」(ちらっとベテラン社員の方を見る)
- ベテラン社員 😶 (ぷいっとそっぽを向いて知らん顔)
- 若手エンジニア 😱 (だんまりかよ!)
結局、顧客への説明はすべて若手エンジニア一人が背負うことになり、水増しを指示したベテラン社員は素知らぬ顔で自分の作業に戻っていった。

解説
今回のケースのように、実際の作業量とかけ離れた工数を見積もりに乗せる背景には、下請け企業側の「利益確保」という社内事情が存在します。
特にニアショア・オフショア開発のように、発注元と受注先の間に距離や情報の非対称性がある場合、顧客側は実作業のボリュームを正確に把握しづらく、見積もり内容をそのまま信用せざるを得ない場面が少なくありません。
その結果、受注側の裁量で工数を膨らませる余地が生まれてしまいます。
おわりに
発注する側からすれば、下請け企業を選ぶ際に金額の安さだけで判断すると、見えない部分で不透明な工数管理が行われているリスクがあります。
「安物買いの銭失い」にならないよう、依頼する作業の内訳や工数の根拠については、遠慮せず確認する姿勢を持つことが大切です。