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はじめに

ベテランの会社員からは「朝早く出社すると評価が上がる」という声をよく聞きます。 しかし、実際にやってみても評価が上がらない、それどころか逆効果になることさえあります。

この物語では、役員のアドバイスを素直に実行したSIerの新人が、客先常駐先で思わぬ現実に直面する様子を描きます。


「誰よりも早く出社した新人と、遅れて来る先輩」


これは関東のとあるSIerでの出来事。

従業員は数百人規模。多くのエンジニアが客先に常駐して開発や保守を行っており、自社オフィスに出社する機会はほとんどない。 上司や役員の目が届かない客先常駐では、勤怠の管理は各自の裁量に任されている部分が大きかった。

新人Aは入社して間もない頃、研修の懇親会で役員Cと話す機会があった。

  • 新人A 🙂 「どうすれば早く評価してもらえるようになりますか?」
  • 役員C 😊 「簡単だよ。誰よりも早く出社しなさい。やる気は必ず見られているからね。」
  • 新人A 😃 「わかりました!頑張ります!」

素直な新人Aは、配属された客先常駐先で、翌日から始業の30分以上前に出社することにした。 オフィスにはまだ誰もいない。静まり返ったフロアで、Aは一人、席に着いて先輩たちを待った。

始業時間の9時になった。先輩の席は空いたままだ。 9時15分。まだ来ない。 9時30分を過ぎた頃、ようやく先輩Bがコーヒー片手にのんびりと現れた。

  • 先輩B 😄 「おはよー。あれ、もう来てるの?早いねぇ。」
  • 新人A 😳 「おはようございます。……先輩、始業時間は9時ですよね?」
  • 先輩B 😏 「ああ、客先だから誰も見てないしね。細かいこと気にしてたら疲れちゃうよ。」

困惑するAをよそに、他の先輩たちも次々と遅れて出社してくる。 誰も遅刻を気にしていない。それどころか、始業前から席にいるAの姿は、むしろ浮いていた。

その日の昼休み、先輩Bが他の先輩たちに話しているのが聞こえてきた。

  • 先輩B 😆 「新人のA、朝一番に来てたんだよ。役員に何か吹き込まれたんだろうなぁ。」
  • 先輩D 🤣 「マジで?かたいやつだなぁ。」
  • 先輩B 😂 「応用力ないよね〜。」

へらへらと笑う先輩たち。その輪の中に、Aの居場所はなかった。

  • 新人A 😨 「(僕は、ただ評価されたかっただけなのに……。)」

その後もAは、しばらく早めの出社を続けた。 しかし、評価が上がる気配はなかった。むしろ「言われたことをそのままやる、融通の利かないやつ」というレッテルだけが残っていった。

早く出社しても評価は上がらない編


解説

なぜ、早く出社しても評価されなかったのでしょうか。

人間は、自分に近いマインドの人を高く評価する傾向があります。 出勤時間にルーズな組織では、「時間を守ること」そのものが評価軸になりません。そこで誰よりも早く出社しても、「自分たちと違う人」と見なされ、無意識に「かたいやつ」「応用力のない人」と評価を下げられてしまうことがあります。

役員の助言が間違っていたわけではありません。役員が過ごしてきた組織では、それが評価につながったのでしょう。しかし、評価の基準は組織によって異なります。 過去の成功体験に基づくアドバイスは、別の組織では通用しないことがあります。

また、朝型・夜型は遺伝的な要素も大きいと言われています。最近は朝はゆっくり始めたいと考える人も増えており、出勤時間の早さだけで人を評価することは、そもそも適切ではないのかもしれません。

評価を上げたいのであれば、世の中全体の流れと、自分が所属する組織のマインドを知ることが重要です。「何をすれば評価されるのか」は、誰かの助言を鵜呑みにするのではなく、自分の目で見極める必要があります。


おわりに

世の中には様々な企業や人が存在し、常識では考えられないようなことが実際に起きます。 勤怠に対する意識ひとつ取っても、組織によって驚くほど違いがあります。

しかしAIの台頭により、これまでは人手不足で仕方なく見過ごされてきた、いい加減な組織に合わせて働き続けることは、今後リスクになっていくかもしれません。 真面目に取り組んでも正当に評価されない環境であれば、転職や独立など、環境を変えることも選択肢の一つとして検討してみてください。