はじめに
目標設定の手法として有名な「マンダラチャート」。
用紙を9つのマスに分け、中心に書いた目標から具体的なアクションを展開していく、大谷翔平選手も用いたことで知られるメソッドです。
しかし、この手法を導入しても、組織の土台次第では機能しないことがあります。今回はそんな職場のトラブルを紹介します。
本記事は、エンジニアや企業を貶めることを目的としたものではありません。情報収集が困難な業界内情を提供し、今後のキャリアに役立てていただくこと、そして業界への監査を行うことを目的としています。
「マンダラチャートで目標すら立てられない会社のPDCA」
これは神奈川県の社員数300名規模のIT系中小企業での出来事。
その年、チームの目標設定に「マンダラチャート」を導入することになった。
発案したのはチームリーダーC自身だった。
- リーダーC 🙂 「今期からマンダラチャート使って、みんなでチーム目標立てていこうと思うんだよね。」
- メンバーD 🙂 「大谷選手が使ってたやつですね!やってみましょう。」
期待に胸を膨らませて始まった打ち合わせだったが、いざマスを埋める段階になると空気が変わっていく。
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リーダーC 🙂 「じゃあ中心のマスに、今期のチーム目標書いてみて。えーと……『スキルを上げる』とかでいいんじゃない?」
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メンバーE 🙂 「私は『もっと頑張る』でいいと思います。」
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メンバーD 🤔 「あの、もう少し具体的に、何をどれくらい、という形にした方がよくないですか?せっかくリーダーが導入してくれた手法なので、ちゃんと活かしましょう。」
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リーダーC 😅 「うーん……『スキルをたくさん上げる』とかでいいと思うけどな……。」
-
メンバーE 😑 「細かく決めなくても、なんとなく伝わればよくないですか?」
具体的な数値や行動に落とし込もうとしても、抽象的な言葉しか出てこない。
メンバーDは何度か具体化を提案したが、発案者であるはずのリーダーCも、メンバーEも取り合わず、打ち合わせの時間は限られているまま時間だけが過ぎていく。
- リーダーC 😓 「……とりあえず今日はこのままで進めとこうか。」
具体的な目標が定まらないまま、打ち合わせは終了となった。
その後も、
- 誰が何を担当するか
- どの周期で振り返りをするか
- 進捗が遅れたときの修正方法
といった基本的な仕組みは決められないまま、なんとなく計画だけが独り歩きしていった。メンバーDは「せめて振り返りの日程だけでも決めましょう」と何度か声をあげたが、発案者のリーダーCからもメンバーEからも明確な返答はなかった。
- メンバーD 😮💨 「言い出しっぺのリーダーが一番動いてくれないと、この仕組みは回らないと思うんですが……。」
- リーダーC 😐 「まあまあ、そのうち何とかなるって。」
数ヶ月後。
- リーダーC 😳 「そういえば、あのマンダラチャートの目標、どうなってたっけ……。」
- メンバーE 😨 「私も、何を書いたかすら覚えてないです……。」
- メンバーD 😮💨 「……言った通り、決めておかないとこうなりますよね。」
進捗確認をする人も、期限を意識する人も、発案者であるリーダーCを含めて誰一人いなかった。
結局、四半期が終わる頃には、目標を立てたこと自体が忘れ去られていた。
- リーダーC 😅 「まあ、来期また考えればいいっしょ。」
- メンバーE 😌 「そうですね、細かいことは気にしなくても大丈夫でしょう。」
- メンバーD 😞 (……自分だけが真剣に取り組んでも、こうなるんだな。)
解説
問題点
どんな目標設定フレームワークも「使う人の論理的思考力」と「当事者意識」がなければ機能しません。
今回特に問題だったのは、フレームワークを持ち込んだ発案者のリーダーC自身が、目標を具体化する意志も、運用を回す責任感も持っていなかったことです。メンバーEも同調して具体化を放棄し、真剣に取り組もうとしたメンバーDだけが孤立してしまいました。
手法を導入する側が一番いいかげんでは、どれだけ優れたフレームワークでも機能しません。
対処法
目標設定そのものも一種のスキルであり、学ぼうとしない組織ではツールを変えても同じ失敗が繰り返されます。
特に、手法を発案・導入する立場の人間が率先して具体化と運用に責任を持たなければ、周囲は「どうせ本気ではない」と感じ、協力する意欲を失います。
フレームワークを変える前に、発案者自身が目標を具体的な数値や行動に落とし込む姿勢を示すこと、そして「誰が」「いつ」「どう振り返るか」という運用ルールを決めておくことが有効です。
おわりに
目標管理の仕組みは、優れたフレームワークを導入するだけでは機能しません。
具体的な目標に落とし込む力と、それを運用し続ける仕組みの両方が揃って初めて意味を持ちます。