はじめに
皆さんは、みなし残業という言葉を聞いたことがある方はいますでしょうか?
中小Sierに入社した若手方の中に、
- 「残業したのに給料が増えていない」
- 「働いた分が給与に反映されていない気がする」
と落胆されている方がいらっしゃいました。
原因の多くは、みなし残業制度に対する理解不足です。
制度を十分に理解しないまま入社すると、多大な損失を被ることになります。
この記事では、みなし残業の問題点について、紹介します。
そもそもSIerとは
SIerとは、企業向けシステムの設計・開発・保守を担う会社のことです。
主な特徴として、以下が挙げられます。
- 納期が定められている
- 定型的な作業ではないため、作業見積が困難、遅延が発生しがちミスミス
- 多数のステークホルダーが関与するため、仕様変更や認識相違などコミュニケーションの問題で遅延が発生するリスクがある
こうした特性から、残業が発生しやすい業界構造になっています。
SIerの平均残業時間
一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)が発行している「基本統計2024・概要編」によると、ITエンジニアの年間所定外労働時間は221時間と報告されています。
これを月平均に換算すると、月あたり約18時間(221時間 ÷ 12ヶ月) となります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年間所定外労働時間 | 221時間 |
| 月平均換算 | 約18時間 |
エンジニアの労働時間に関する統計は多数ありますが、少なくとも月平均20時間前後は残業時間をしているという統計結果になっていることが多いという印象です。
Sierは統計結果からみても、「残業」発生しやすい業界といえます。
みなし残業とは
みなし残業(固定残業代)とは、以下のような制度です。
- 毎月○時間分の残業代をあらかじめ固定で支給する
- 例:「20時間分込み」の場合
- 残業していなくても、20時間分が残業してとみなしてが毎月支給される
- 40時間の残業しても、超過分の20時間分しか支給されない
一見すると合理的な制度に見えますが、ここで問題が生じます。
みなし残業の問題点
基本給が実態より高く見えやすい
「年収○万円」という提示に、みなし残業の固定残業代が含まれているケースがあります。
固定残業代を除いた実質的な基本給でみると、他の企業より給与が低い場合があります。
入社前に必ず基本給の内訳を確認することが重要です。
残業しても給与が増えにくい
残業しても、みなし残業に設定されている固定時間(例:20時間)以内だと、残業代が発生しないので、どれだけ多く働いても給料は変わりません。
残業が多い業界で、残業しているにも関わらず、給料がほとんど増えないのは、
努力と報酬のつながりが弱くなり、モチベーションの低下につながりやすいです。
長時間労働の温床になりやすい
JISAの統計データによると業界の月平均残業時間は約18時間ですが、繁忙期には40時間を超えるプロジェクトも存在します。 みなし30時間の設定であれば、繁忙期にはほぼフル消化が常態化する可能性があります。 残業を減らそうとするインセンティブが、会社側に働きにくい構造です。
就職活動中の方に伝えたい本質
SIerは、業界の構造上、残業が発生しやすい環境です。
その業界でみなし残業ありの求人を選ぶということは、残業前提設計の職場を選ぶ可能性が高いということを意味します。
もちろん、みなし残業を採用していても適切に運用されている企業もあるとは思います。
しかし、合理的に考えるならば、
残業が多い業界 × 固定残業代あり、この組み合わせはリスクが高いため、避けた方がよいでしょう。
おわりに
この記事では、みなし残業について説明しました。
- みなし残業ありの企業は、慎重に検討することをおすすめします
- 可能であれば、固定残業代なしの企業を選ぶ方が安心です
- 基本給と固定残業時間は、必ず入社前に確認してください
特に新卒の方は、入社前の交渉力が限られています。
最初の職場環境の選択は、その後のキャリアや収入に大きく影響します。
残業が前提となっている職場に、あえて入社する合理的な理由は低いと言えます。
ご自身の働き方やキャリアを守るためにも、制度の仕組みをしっかり理解したうえで企業選びをしていただければ幸いです。