はじめに
2025年10月、MicrosoftはCopilotの秋の大型アップデートを発表しました。
今回のアップデートでは、共同作業を強化するグループ機能や、新しいAIアシスタントMico、健康情報提供機能など、12の新機能が追加予定とのことです。
本記事では、それらの新機能をわかりやすく解説します。
Microsoft Copilot 12の新機能アップデート
1. グループ機能
アップデート内容
最大32人までのユーザーが同時に同一のCopilotチャットセッションに参加できる機能が追加されました。
Copilotが会話の文脈を保持し、要約やタスク管理も自動的に行います。
ユースケース
- チームブレインストーミング:マーケティングチームが新製品のキャンペーンアイデアを複数人で同時に出し合い、Copilotが提案を整理・要約いたします
- プロジェクト計画立案:開発チームがスプリント計画を共同で作成し、タスクの割り振りをCopilotに支援してもらうことができます
- 共同文書編集:複数の部署にまたがるレポート作成時に、リアルタイムで意見を交換しながら文書を完成させることが可能です
2. Imagine
アップデート内容
AI生成コンテンツを共同で作成・リミックスできる空間が提供されます。
ビジュアル、マーケティング資料、トレーニング素材のプロトタイプ作成に最適化されています。
ユースケース
- マーケティング資料作成:広告チームが複数のビジュアル案をAIで生成し、チーム内で編集・改良を重ねることができます
- 研修教材開発:人事部門が新入社員向けのトレーニング資料を視覚的に作成し、複数の講師で内容を調整できます
- プレゼンテーション素材:営業チームが顧客向け提案資料のビジュアルを共同で作成・改善することが可能です
3. Mico(ミコ)
アップデート内容
雫をモチーフにしたキャラクターのAIアシスタントが導入されました。
感情表現が豊かで、Cortanaの進化版のような位置付けとなっております。
現時点ではキャラクターのアニメーション表示が主な機能で、ビジネス的な用途は限定的になると思われます。
ユースケース
- カジュアルな対話体験:ビジネス以外の場面で、よりフレンドリーなインターフェースを通じてAIと対話することができます
- 教育現場での活用:学生や子供向けに、親しみやすいキャラクターを通じて学習支援を提供できます
4. Real Talk
アップデート内容
ユーザーの話し方に合わせて会話スタイルを調整し、建設的な対話や「ソクラテス式」の問題解決を支援する機能が追加されました。
ソクラテス式とは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスが用いた対話による思考法で、質問を通じて相手の考えを深掘りし、矛盾や曖昧さを明らかにすることで、より明確で論理的な理解に導く方法です。
ユースケース
- コーチング・メンタリング:マネージャーが部下との対話スキルを向上させるための練習ツールとして活用が期待されます
5. メモリーとパーソナライズ
アップデート内容
ユーザーの好み、目標、文脈を長期的に記憶する機能が実装されました。記憶内容は編集可能で、プライバシーにも配慮されております。
ユースケース
- 継続的なプロジェクト管理:過去の会話や決定事項を記憶し、プロジェクトの文脈を保持したまま作業を継続できます
- パーソナライズされた提案:ユーザーの業務スタイルや好みを学習し、より適切な提案を行うことが可能です
- 長期目標の追跡:四半期目標や年間目標を記憶し、進捗状況に応じたアドバイスを提供いたします
6. コネクター
アップデート内容
OneDrive、Outlook、Gmail、Google Drive、Googleカレンダーなどと連携し、自然言語で横断検索が可能になりました。
ユースケース
- 統合情報検索:「先月の営業会議の資料」と尋ねるだけで、複数のクラウドサービスから関連ファイルを検索できます
- スケジュール管理:異なるカレンダーサービスをまたいで、会議の空き時間を一括で確認することが可能です
- メール・ファイル統合管理:GmailとOutlookの両方から特定のプロジェクトに関する情報を一度に取得できます
7. プロアクティブアクション(プレビュー)
アップデート内容
最近の活動やリサーチの流れに基づいて、Copilotがタイムリーな洞察を提示したり、次のステップを提案したりする機能が追加されました。
Microsoft 365の個人・ファミリー・プレミアムプランが必要です。
ユースケース(推測)
- 業務の先回り支援:過去の作業パターンから、次に必要な資料やタスクを自動的に提案いたします
- リサーチの継続:前回の調査内容を基に、関連する最新情報や追加の調査方向を提示できます
- ワークフロー最適化:定期的な業務に対して、より効率的な手順や時短テクニックを提案することが可能です
8. Copilot for Health(ヘルスケア向けCopilot)
アップデート内容
Harvard Healthなどの信頼できる情報源に基づいて健康に関する質問に回答する機能が向上しました。
医師の検索・比較機能も追加されています(現在は米国限定)。
ユースケース
- 健康情報の確認:症状や健康状態について、信頼性の高い医療情報源から回答を得ることができます
- 医師選び:専門分野や評価に基づいて、適切な医療機関や医師を検索・比較することが可能です
- 健康管理サポート:日常的な健康維持や予防医療に関する情報を入手できます
9. Learn Live(ラーンライブ)
アップデート内容
音声操作とホワイトボードを活用した対話型学習体験が提供されます。
Copilotが「ソクラテス式」チューターとして、質問・視覚的なヒント・インタラクティブなホワイトボードを活用して学習を支援いたします。
ユースケース
- 試験準備:期末試験や資格試験に向けて、概念の理解を深めるための対話的な学習が可能です
- 語学学習:新しい言語の練習を、音声とビジュアルを組み合わせて効果的に行うことができます
- 専門分野の学習:複雑な技術や理論を、段階的な質問と視覚的説明で理解を深めることができます
10. EdgeのCopilotモード
アップデート内容
Microsoft Edgeが「AIブラウザ」に進化し、開いているタブの解析、フォーム入力、音声操作などが可能になりました。
「Journeys」機能により、ブラウジングセッションをストーリー形式で整理もできます。
ユースケース
- フォーム入力の自動化:「サプライヤーの資料を比較して、構造化データを抽出し、調達フォームに自動入力して」という指示が可能です
- リサーチの整理:複数のウェブページを閲覧した調査内容を、後から見直しやすいストーリー形式で保存できます
11. Windows 11へのCopilotの組み込み
アップデート内容
Windows 11にCopilotが組み込みアシスタントとして統合されました。
「Hey Copilot」で起動し、デスクトップから離れることなく文脈を理解したコマンドを実行できます。
Copilot Visionは視覚的理解機能を追加し、最大20個の同時ファイルアップロードに対応いたします。
ユースケース
- ドキュメント作成支援:デスクトップ作業中に音声でCopilotを呼び出し、文書の下書きを依頼できます
- トラブルシューティング:エラーメッセージをキャプチャし、Copilotに解釈や解決策を依頼することが可能です
- クロスドキュメント分析:監査、提案依頼書(RFP)、コードレビューなどで、複数ファイルを同時に分析できます
- サポートチケット作成:システムログを要約し、ITサポートチケットを自動生成することができます
12. Copilot Pages & Copilot Search
アップデート内容
PasgesとSearchが新たに導入されます。
Pagesは共同作業用のキャンバスで、最大10ファイル(Windows版では20ファイル)の同時アップロードに対応しています。
Copilot Searchは、AIが生成した回答と従来の検索結果を1つの画面に統合し、引用付きの明確な回答を提供いたします。
ユースケース
- 共同作業スペース:チームメンバーが文書・画像・テキストなど複数の形式のファイルを共有し、共同で編集・分析できます
- 総合的な情報検索:AI回答と従来の検索結果を同時に確認することで、より信頼性の高い情報収集が可能です
- ナレッジ共有:プロジェクトに関連する情報を一箇所に集約し、チーム全体で知識を共有することができます
参考
- Microsoftブログ: Copilot 秋の大型アップデート発表
- Microsoft Copilot gets 12 big updates for fall, including new AI assistant character Mico
おわりに
今回のアップデートは現在米国で公開されており、今後数週間以内に英国、カナダ、その他の地域で展開される予定だそうです。 これらの機能により、業務効率の向上、共同作業の強化、よりパーソナライズされたAI体験が実現されることが期待されます。